空飛ぶ餃子

Aro/Aceのオタクです。映画、漫画の感想・考察(ネタバレ全開)

(ネタバレだらけ)ブラックパンサー:ワカンダ・フォーエバー

長ーい葬儀

ティ・チャラの死と葬儀の場面から始まる本作。

葬儀の華やかな踊りや人々の笑顔、美しい白色の喪服が、どこか浮いているような感じがする。

その後も、ワカンダの人たちは何となく落ち着いておらず、シュリも女王もオコエ隊長も、みんな何か浮いている。

船や飛行機に乗っている場面が多く、棺も埋めたり燃やしたりするのではなく天に昇る。やはり何か浮いている。

みんなが王様の死に動揺していて、もはや映画自体が葬儀という感じだった。

 

背中を見失うと心細い子供

子供の頃、私はどこへ行っても年の離れた兄と姉を追いかけていて、くっついていないと気が済まず、置いていかれると二人が戻ってくれるまで泣きわめいた。

祖父母によくそのことをからかわれていたが、私は兄と姉を見失うことが本気で怖かった。大人になった今も、私は二人の後ろにいるという感覚が消えない。

シュリはお兄さんが前にいないことが心細くて仕方ないに違いない、と思って胸がギュッとなった。

シュリの取り乱しや戸惑い、怒りや孤独感はどうしても他人事と思えなかった。

エムバクに女王は戦争を望んでいないと言われ、みんな生きてるみたいに言うけど、あの人はいない、あの人の望みも存在しない、あるのは私の望みだと怒るのは子供っぽいと言えばそれまでだけど、正しい悼み方などなくて、人は頼りにしていた人が死んだらふつうに取り乱すよな、と当たり前のことを考えた。

ふつうのお話だと、兄が死んでも妹はさめざめと悲しむ程度だったり、他に庇護する者が現れたり、そもそも兄は妹を残して死なないし、妹視点になることはあんまりない気がする。バイオハザード2のクレアのように兄を探しに行く妹もあまりいない。鬼滅の刃も妹を守る兄の話だった。あの妹も兄を守るが、あくまでも兄に対する献身にすぎない。

この映画の好きなところは、シュリが兄の死にちゃんとめちゃくちゃ動揺するし、誰かが守ってくれることで解決したりしないところだ。

 

黒人女性が主役の映画

実は黒人女性が主人公の映画を初めて見たかもしれない。

主演だけでなく、黒人の女の人がメインの映画という意味で。

新キャラも黒人の女性。リリの「若くて才能ある黒人だからさ、ワカンダじゃ言わないか」という皮肉や、「悪役が女の衣装を変えさせるときは気を付けろ」と言ってレイア姫を引き合いに出したのが印象的だった。オコエのようなつよつよ戦士ではなく技術系なのに、けっこう戦うのが何かスターウォーズみたいだ。

リリ好きだな、同じスターウォーズファン(多分)として、次回作でのさらなる活躍に期待したい。

 

さっぱり系ヴィラン

前作もそうだったけど、ヴィランがネチネチ気持ち悪いタイプではないので見やすい。

妙に潔いし、平気で人を殺す割には瞳が澄んでいて格好いいので、あんたほんとに人殺したの?となってしまう。

いやそういう人だから殺せるという話だ、ということは分かるけれども。

 

シュリに感情移入しすぎている末っ子としては…

ラストに甥っ子が登場するわけだが、これはシュリにだけ知らされていなかったということですよね。

ちょっとそれ寂しくないか、はよ言わんかい!となってしまい、どういう気持ちで見ていいのか分からなくなった。

シュリ頑張ってほしいまじで。