推し目的で見たらめちゃくちゃ面白かった
私がスター・ウォーズシリーズで最も好きな映画は「ローグ・ワン」で、その登場人物の中で最も好きなのがキャシアン・アンドーである。
というか、フィクションの登場人物の中で最も好きなのがキャシアン・アンドーである。
「ローグワン」におけるキャシアンは、ジェダイでもパイロットでもなく、解放軍で後ろ暗い仕事ばかりしていて、ドロイドのK-2以外に友達がいないという最高の男であった。
「ANDOR」は「ローグワン」の前日譚であり、キャシアン・アンドー・ライジングなドラマということで、もし面白くなかったとしても、もうそんなことはどうでもいいという姿勢で臨んだ。
ところが、これがめちゃくちゃ面白いドラマだったのだ。
推しを眺められる上に面白いドラマ、最高である。
そのキャシアンだが、第一話ですでに女の人を誘惑したり、迂闊に殺人を犯してしまったり、冒頭からなかなかのクズっぷりを発揮している。
それなのに、母マーヴァに歴代彼女を列挙されたり、ドロイドのビーに振り回されている様子が愛らしい。とっさに殺ってしまうような奴にしては可愛すぎる。
とはいえ、冒頭のキャシアンはとにかく自分が生き残ることしか考えておらず、邪魔な奴はすぐ撃ち殺す。
この先こんな感じでドラマ的に大丈夫か?と心配になるくらいだったが、果たしてそれは杞憂であった。
成長はしない
キャシアンの言動は物語が進むにつれ変わっていくのだが、それは教訓を得てクズが真人間に成長する、というようなものとは違っていた。
主人公が成長しないと不思議な感じがしてしまうのは、少年ジャンプの読みすぎかもしれない。
キャシアンに影響を与える人物たちは、ただ生きた、あるいは生きているだけであり、キャシアンもそうなるべくしてなっただけなのだろう。
みんな自由を求めていたり、すべきことのために勝手に抗っている。
みんなそれぞれ妙に嫌なところがあったりするし、意外に根性あったりする。
それがとても良かった。
作中に登場するスピーチがどれも印象的だった。
私は自由を求める人の言葉が好きだ、勇気が出るから。
収容所のキノ・ロイのスピーチ、ネミックのマニフェスト、マーヴァのホログラム演説、どれも素晴らしかった。
これ書いた人は実際に何か帝国的なものに反逆しているのでは、などと思った。